お墓が売れない時代にあなたの石材店では何を「売り」にしますか?
人が亡くなればお墓を建てる。
ひと昔前までは、ごく当たり前のことでした。
そして、私たち石材店は、この当たり前の流れの中で商売を営んできました。
それも、他の業種のような一時的なブームのようなものではありません。
何十年、いやもっと長きにわたり、異業種と比べるとさほど苦労することなくお墓を販売してきました。
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」資格の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』のフランチャイズ加盟店システムを運営させていただいております。
能島
少子高齢化・核家族化社会の影響もあり、お墓一択の時代が終わり、従来のお墓に変わる様々な埋葬方法が登場しました。
その中でも、特に需要が多いのが樹木葬と永代供養墓です。
しかし、石材店を営んでいる以上、やはりお墓を販売していかなければなりません。
そして、数多くの石材店が、数少ない建墓需要顧客の獲得競争をする以上、消費者から見て“コレだ!”と思える「売り」がなければ他社との競合に勝つことはできません。
消費者にとって、お墓を建てるのは一生に一度あるかどうかのことです。
つまり、あなたのお店で買うか、他の石材店で買うかのいずれかなのです。
今回の記事は、そんな時代の中で競合他社に勝ち抜くための「売り」について考えてみたいと思います。
目次
自社のある商圏のお墓事情を把握していますか?
商売をする以上、まずは市場を知ることが大切です。
ところで、あなたは自社がある地域のお墓事情をご存知ですか?
やみくもに、「最近は暇やなぁ…」と嘆いてみたところで何も解決しません。
まずは、世の中の情勢と自社の商圏のお墓事情を把握しておく必要があります。
第11回お墓の消費者全国全国実態調査
一般消費者向けに、全国の霊園・墓地・墓石を無料で紹介する日本最大規模の総合サイトである「いいお墓」が、お墓に関する消費者動向について調査を実施した「第11回お墓の消費者全国全国実態調査」の結果が報告されました。
このことは、供養業界のビジネス情報誌「月刊仏事」2020年5月号(発行:株式会社鎌倉新書)に以下の内容で掲載されています。
「いいお墓」から資料請求や相談をされた方を対象に、2019年1月~同12月までに購入したお墓の種類を調査した結果、今回、樹木葬が41.5%を占め、一般墓の27.4%との割合が逆転し、初めて1位になったようです。
樹木葬単体の比率については、2017年から調査を開始しているが、24.9%、30.0%と順調に伸びていたのが、この1年で急増したことになります。
※出典:いいお墓/「第11回お墓の消費者全国全国実態調査」
2年間で5,611体の申し込みがあった神戸市立鵯越墓園合葬墓
ちなみに、当社第一石材がある兵庫県神戸市もご多分に漏れず、年々「墓じまい」に拍車がかかっています。
このことについて、2020年3月18日発行の神戸新聞に以下のように書かれています。
近年の「墓じまい」の増加で、神戸市立墓園の墓地返還数が、2012年度の約300件から2018年度は800件と、右肩上がりに増えている。
そのような状況を踏まえ、神戸市は2017年度に、骨袋に納めた遺骨を1万体収容できる合葬施設を鵯越墓園内に整備をした。
申込数は、2018年度が2,518体、2019年度が3,093体と当初の年間400体の想定を大きく上回り、生前申し込みが約6割を占めるという。
出典:神戸新聞(2020年3月18日発行)
この記事に書かれているように、神戸市立鵯越墓園合葬墓には、2018年と2019年の2年間で計5,611体の申し込みがあったということになります。
5,611体という数を、仮にご夫婦単位とすれば約2,800組です。
しかし、この数字はあくまでも神戸市立鵯越墓園合葬墓だけの数です。
寺院や民営が運営する合葬墓や樹木葬や海洋散骨などを含めると、さらに多くの方々がお墓以外の埋葬方法を選んだことになるのです。
この方たちは、通常のお墓を建てることはまずありません。
つまり、私たち石材店の立場からすると、この2年間で数千基のお墓を建てる機会を失ったということです。
これは、あくまでも神戸市の例ですので、あなたのお店がある地域とは事情が異なることかと思います。
しかし、日本全体で考えても、お墓離れの流れを食い止めるのは極めて難しいといえます。
いまだにお墓文化がきちんと残っている地域もあるでしょうが、油断は禁物です。
令和2年度/神戸市営墓地申し込みの実態
神戸市では、例年神戸市民を対象に神戸市営墓地の募集を行っております。
上の表は、令和2年4月~5月に募集が行われた、神戸市立墓園「定期募集」の申し込み受付状況です。
募集区画総数273区画に対して申込者数は160人となっています。
いわゆる定数割れです。
さらに、同区画に複数者の申し込みがあるため抽選となり、実際に墓地が当たるのは96人だけです。
この募集と別に、総数1,252区画の募集がある神戸市営墓地の「常時募集」が6月1日から始まりました。
しかし、初日である6月1日(月)に集まったのは、たったの18人。
たとえ初日といえども、1,000を超える募集があるにもかかわらず、18区画だけしか墓地の申し込みがなかったということです。
定数割れどころの話ではありません。
常時募集は令和3年1月まで続くとはいえ、おそらく100区画程度の申し込みにとどまるのではないかと思います。
これが、私の地元である神戸市のお墓事情の実態なのです。
あなたのお店で買うか他の石材店で買うかのいずれか
神戸市営墓地の場合だと、6月1日時点での当選者の総数は、定時募集の96人と常時募集の18人を加えて計114人です。
ここからさらに増えてはいくでしょうが、とりあえずは114人としておきましょう。
神戸市営墓地は公営につき、お墓を建てる石材店を自由に選ぶことができます。
では、この方たちはどこの石材店を選んでお墓を建てるのでしょうか?
現在、神戸市内には約80軒の石材店があるといわれています。
単純に神戸市内の石材店だけに割り振りすると、
114人÷80件=約1.357件
となります。
つまり、石材店1軒あたりに、わずが1件ほどしか建墓の仕事が回ってこないということです。
いくら、神戸市営墓地以外の仕事があるにしても、さずがにこの仕事量ではお店を維持するどころか、生活することもできないでしょう。
しかし、現実はさらに非常です。
こんなふうに、均等にお客様を獲得できるわけではありません。
数多くの受注がある石材店もあれば、1件も注文を取れない石材店があるということです。
そう考えると、かなりの高確率で自社を選んでもらう「売り」を提供するとともに、自社の商圏外のお客様をも獲得できるほどの魅力の提供が不可欠となるのです。
それとも、墓じまいを専門にするかです。
あなたのお店の「売り」は何ですか?
現在のお墓事情を憂いていても、この状況がすぐに変わることはないでしょう。
そうなると、変わらないといけないのは世の中以前に私たち石材店です。
いわゆる、消費者に自社を選んでもらえるような「売り」は何か、です。
- 創業○○年の歴史
- 建墓数△△△△基の実績
- 自社施工だから安心
今の時代、これだけでは消費者はなかなか振り向いてはくれません。
もっと、尖った「売り」が要るのです。
消費者の心にグサッと刺さる「尖った売り」です。
■他社にはなくて、自社しかできない「何か」です。
■万人が望まなくても、それが欲しいというお客様には確実に刺さる「何か」です。
■市や県をまたいででも、あなたにお墓づくりをお願いしたいと思わせる「何か」です。
その、
「何か」=「売り」
を打ち出すことで、極めて競合に強くなります。
それがなければ、価格競争という体力勝負を続けるしかありません。
まとめ
お墓を建てる人の数が少なくなったのに加え、あらゆる情報が誰でも簡単に入手できる現代社会においては、これまでのように簡単にお墓は売れません。
他社の石材店と比較されることが当たり前の時代です。
そんな中で他社との競合に勝ち残るためには、あなたのお店でお墓を買う理由が要ります。
「○○だからあなたのお店でお墓を買いたい!」
この○○があなたのお店の「売り」なのです。
私たちの○○は、“納骨室に水が入らないお墓”「信頼棺®」です。
カロート(納骨室)の中に、
- 水が入るのはイヤ
- 水が溜まるのはイヤ
- 虫がすみ着いたりハチが巣を作るのはイヤ
という方にとっては、他のどこの石材店がつくるお墓であっても競合になりません。
ちなみに、当社のお客様の半分以上は神戸市以外の方々です。
リアルに消費者に伝わる売りがあれば、指名買いにつながるのです。
あなたのお店の「売り」の一つに「信頼棺®」を加えてみてはいかがですか。